所得税の準確定申告では相続人が複数いる場合、マイナンバーを全相続人が記入しなければならないことになっています。そのため、これは相続人全員がマイナンバーを教え合う特定個人情報の提供に当るのではないか、という疑問が納税者の間で浮上しています。
所得税の準確定申告とは、事業者が死亡したときに、その死亡した年の1月1日から死亡した日までの所得について、相続人が行わなければならない所得税の確定申告のことです。事業者が死亡したことを知った日の翌日から4カ月以内に申告をしなければならないわけですが、いま問題となっているのは、その申告書の付表に相続人のマイナンバーを記入しなければならないということです。
相続人が複数いる場合、全員のマイナンバーを記入しなければならず、例えば、一人目の相続人が自らのマイナンバー(個人番号)を付表に記載して二人目の相続人に渡す行為は、番号法上の「特定個人情報の提供」に該当するのではないか、という疑問が持たれているのです。
この疑問について、7月15日に国税庁がホームページに掲載している「番号制度概要に関するFAQ」を更新。「所得税の準確定申告書付表や消費税申告書の付表6(死亡した事業者の消費税及び地方消費税の確定申告明細書)、相続税の申告書や贈与税の申告書付表には、複数の相続人が同一の書面にマイナンバー(個人番号)を記載することとなりますが、複数の相続人がそれぞれのマイナンバー(個人番号)を記載するために、一の相続人が当該付表等にマイナンバー(個人番号)を記載してその他の相続人に渡す行為は、番号法上の特定個人情報の提供には該当しません」と回答しています。
そして、注意事項として「このケースにおいて、一の相続人のマイナンバー(個人番号)が記載された当該付表等を受け取ったその他の相続人は、番号法の規定により、そのマイナンバー(個人番号)を書き写したり、コピーを取る等を行うことはできませんので、付表等の控えを保管する場合は、記載されたマイナンバー(個人番号)をマスキングするなどの対応をお願いします」と付け加えています。