金融庁では、平成26年1月からNISA(少額貯蓄非課税)制度が導入されてから2年を経過したことを踏まえ、NISAの利用状況や販売されている商品内容及び販売態勢等について総合的な制度の効果検証を実施した。それによると、今年6月末時点でのNISA口座数は1030万(今年3月末時点から1.7%増)、累計買付金額は8.4兆円(同8.1%増)にのぼり、制度の開始以来、順調に推移している。
口座開設者に占める50歳代以下の割合は、今年6月末時点では46.4%と依然として半数に満たないものの、制度開始時には36.7%だったものが徐々に増加してきている。NISA口座の稼働率は、平成27年12月末時点で46.5%と、26年12月末から1ポイント上昇しているが、依然として非稼働口座が53.5%と過半数となっている。稼働口座における金融商品の平均購入額は74.6万円。
NISA口座内の金融商品(残高ベース)は、平成27年12月末時点で、投資信託が約7割(68.3%)を占めており、上場株式(29.6%)も合わせると97.9%と9割を超える。残高のある口座のうち、27年11月末時点で残高が120万円を超える口座は、26年勘定で7.0%、27年勘定で1.8%。26年勘定での保有に係る金融商品については、NISA利用者の67%が、利益が出た又は出ている旨を回答した。
平成27年12月末時点におけるNISA口座内の金融資産の売却率は20.8%。商品別の売却率をみると、投資信託の売却率は9.7%であり、他の金融商品と比較して際立って低い(株式の売却率は40.9%)。NISA口座の投資信託の保有意向期間を「5年以上」とする者の割合は、証券口座一般より低い傾向にある。NISAの非課税期間を5年としていることが、利用者の保有期間を短くする要因となっている可能性があるとみている。
NISA口座開設者の31%と約3割は投資未経験者であり、NISAの導入によって、投資未経験者への投資の裾野拡大の効果が相当程度あったとみられるとともに、その効果は若い世代ほど大きかったと認められる。他方で、投資未経験者の投資実施率は投資経験者に比べて低く、投資未経験者の中には口座開設後も実際の投資に踏み切れない層が相当程度存在するものと推察している。