代表者が青年会議所の会議等に出席するための交通費、宿泊費及び日当が給与に該当するか否かの判断が争われた事件で国税不服審判所は、事業遂行上必要な費用ではなく、代表者が個人的に負担すべきものであるから給与に該当すると判断、法人の請求を斥けた。
この事件は、代表者が青年会議所の会議等に出席するために支払った交通費、宿泊費及び日当を、旅費交通費として損金に算入し、法人税等の確定申告を行ったのが発端。これに対して原処分庁が、それらの費用は法人の事業の遂行上必要な費用には当たらず、代表者に対する給与に該当すると認定した上で、法人税等の更正処分等を行うとともに、源泉所得税等の納税告知処分等を行ってきたことから、法人側が原処分の全部取消しを求めて審査請求したという事案である。
つまり法人側は、代表者が青年会議所の会議等に出席するための交通費、宿泊費及び日当は、青年会議所の活動が経営者に対する教育費用、法人の受注活動費用及び新規事業開拓費用としての性質を有し、事業の遂行上必要な費用であって、代表者が負担すべきものではないことから、代表者に対する給与には該当しない旨主張して、原処分の全部取消しを求めたわけだ。
しかし裁決は、青年会議所の会議等は特定の個人又は法人の利益を目的として行われるものではなく、青年会議所の定款に掲げられた公益的な目的及び事業の内容に則した活動が行われ、代表者はそのプログラムに沿った活動を行っていると指摘。さらに、代表者が会議等に出席したことが、取引先の確保や代表者の経営者としての能力の向上、新規事業の開拓に寄与することになったとしても、青年会議所の活動に付随する副次的な効果にすぎないとも指摘。
その上で、旅費交通費は社会通念に照らして客観的にみて、法人の事業遂行上必要な費用ではなく、代表者が個人的に負担すべきものであるから、代表者に対する給与に該当するという判断をして、法人側の審査請求を斥けている。
(2015.07.28国税不服審判所裁決)