国税庁が公表した平成27年分相続税申告状況によると、相続税の基礎控除の見直し等により、相続税課税対象割合が8%まで上昇したことかが分かった。
平成27年の1年間に亡くなった被相続人数は129万444人(厚労省「人口動態統計」)で、このうち昨年10月末までの相続税額のある申告書(修正申告書を除く)の提出に係る被相続人数は10万3043人と前年分に比べて83.2%も大幅に増加し10万人を超え、相続税課税対象割合は前年よりも3.6ポイント上昇し8%となった。課税割合はこれまで4%程度だったが、平成25年度税制改正における基礎控除や税率構造の見直しなどの一連の相続税改正が昨年1月1日以後の相続から適用が開始されたため、課税対象被相続人が大幅に増加した。
また、課税対象被相続人の増加に伴い、相続人数も前年から10万人超増加となる23万3555人(対前年分比75.2%増)となり、相続財産価額から被相続人の債務や葬儀費用などを差し引き、相続開始前3年以内の生前贈与等を加算した相続税の課税価格は14兆5554億円(同26.8%増)、税額は1兆8116億円(同30.3%増)とともに大幅に増えている。
一方、相続税改正によりこれまでなら課税対象とならなかった課税価格の少ない被相続人が多く含まれた結果、相続人1人当たりの課税価格は1億4126万円(同30.8%減)、税額は1758万円(同28.9%)とともに3割前後減少した。
相続財産の金額の構成比をみると、「土地」38%、「現金・預貯金等」30.7%、「有価証券」14.9%、退職金や生命保険などの「その他」11%、「家屋」5.3%で、26年分と比べると「現金・預貯金等」が4.1ポイント増加し、「土地」が3.5ポイント減少している。