経済産業省は21日、消費税転嫁対策特別措置法が施行された平成25年10月1日から28年9月末までの主な転嫁対策の取組状況をとりまとめ公表した。同省では、26年4月の消費税率引上げを踏まえ、消費税の円滑かつ適正な転嫁を確保する観点から、公正取引委員会とも連携して、1)監視・取締り対応の強化策、2)広報・事業者からの相談対応の強化策を一体的に実施し、転嫁拒否の未然防止、違反行為への迅速な是正を行っている。
監視・取締り対応の取組みでは、買手側(特定事業者)の転嫁拒否行為に対しては、転嫁対策調査官(転嫁Gメン)による監視・取締りを行っており、平成28年9月末までの累計で、調査着手8380件、立入検査4040件を行い、指導を3025件(うち大規模小売事業者129件)、措置請求を5件、勧告・公表を35件(同7件)実施した。これまで中小企業庁が行った措置請求5件は、公正取引委員会が勧告・公表している。
勧告・指導件数3060件を業種別にみると、「製造業」が758件(うち勧告1件)で最も多く、「情報通信業」が373件(同2件)、「建設業」が361件(同4件)で続く。また行為類型別では、総計3128件のうち、「買いたたき」が2699件(同35件)と全体の約86%を占めて圧倒的に多く、次いで「本体価格での交渉の拒否」254件、「減額」103件(同3件)、「役務利用・利益提供の要請」72件となっている。
勧告事例をみると、住宅等の建築リフォーム工事業を行う(株)松下サービスセンター及び(株)APサービスセンターは、1)サイディング工事を請け負わせている個人事業者又は法人事業者に対し、消費税率の引上げ分を上乗せせずに工事代金を据え置いて支払った、2)駐車場等の賃貸人等の一部に対し、消費税率の引上げ分を上乗せせずに賃料等を据え置いて支払ったとして、平成28年8月31日に勧告されている。
なお、消費税転嫁状況の定期的な把握のため、平成26年4月から転嫁状況に関するアンケート調査を毎月実施しているが、9月の月次モニタリング調査結果(有効回答数9579事業者)によると、転嫁状況については、事業者間取引では85.7%、消費者向け取引では72.6%の事業者が「全て転嫁できている」と回答。「全く転嫁できていない」と答えた事業者は、事業者間取引では3.3%、消費者向け取引では5.0%だった