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厚労省、医療機関の設備投資を税制で後押し

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 病院の設備投資を税制で後押しする動きが注目されている。これは厚生労働省が平成29年度税制改正要望の中で新設要望として盛り込んだもの。医療機関が取得した一定の固定資産について、2年間の特別措置として特別償却または税額控除制度を選択適用できるようにするというものだ。

 医療機関における収入の大半は社会保険診療報酬だが、社会保険診療は消費税の非課税取引であるため、仕入れた医薬品や医療器具・備品、充実した医療の提供に欠かせない医療機器をはじめとする設備投資にかかった消費税を転嫁することができない。こうした控除対象外消費税の負担が医療機関の利益を圧迫し、設備投資の抑制する一因になっているといわれている。

 一方で、各都道府県では今後、団塊の世代が75歳以上となる2025年に向け、「地域医療構想」に基づいて病床の機能分化や連携を進めていくこととされている。地域医療構想とは、医療機能ごとに医療需要と病床の必要量を推計し、地域の実情に合わせた方向性を定めていくもの。平成26年にできた医療介護総合確保推進法に基づいて各都道府県が策定を義務づけられている。外来は掛かりつけの診療所へ、入院は病院へ、病状が深刻なら大病院へ、といった役割分担をすることで、医療機関の混雑を緩和し、患者が状態にふさわしい医療サービスを受けられるようにする狙いがある。

 医療機関の税負担軽減については現在、診療報酬改定や取得価格500万円以上の高額な医療機器に対する特別償却制度で対応しているものの、医療機関の税負担はいっこうに減っていないのが現状。今回の要望はこうした機能分化を効果的・効率的に提供していくための基礎固めといえる。

 消費税率10%への引上げを控え、厚労省はこのほか、医療の公共性に配慮した消費税の適切な負担について抜本的な解決を図るべく、医療にかかる消費税制のあり方を総合的に検討すること、そして前述の現行制度の2年間の期間延長も併せて要望している。

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